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文化財修復

唐門修復情報 漆工事vol.6「美しい艶を出すための技法」

美しい艶を出すための技法(2020.12 実施)

  漆の修復作業はvol.5で終了しましたが、修復箇所の一部にはさらに鏡面のように平滑で光沢のある漆面へと仕上げていく 蝋色 ろいろ 作業を追加で行います。蝋色作業は、 炭研 すみと ぎ・ 胴摺 どうず り・ り漆の工程で行われます。

 炭研ぎは、漆塗作業時の 刷毛目 はけめ や付着したゴミを取るために、弾力がなく適度に水分を吸収し、鋭く平滑に研ぐことが可能な 駿河炭 するがすみ ※1を使用し、漆面を研ぎます。炭研ぎを行い修復箇所を平滑にしたら、微細な研ぎ傷を消すためにコンパウンドや ※2と油を混ぜたものを使用して磨く胴摺りを行います。その後、 生漆 きうるし を薄く摺り込み、ムラになっている余分な生漆を紙で拭き取る摺り漆を行い、漆を乾かしていきます。このとき、漆は空気中の水分を取り込んで乾くので、空気が乾燥している場合は、布を湿らせた「しめ布」をかけて湿気を与えます。漆が乾いたら、摺り漆を行った箇所を磨き、摺り漆・乾燥・磨きの工程を複数回繰り返します。最後に、砥の粉をつけた手のひらで漆面を磨き、鏡面のように仕上げて、蝋色作業は終了となります。

※1 駿河炭 : 油桐を焼いて作った炭で、軟らかいので中塗り砥ぎや蝋色仕上げの下砥ぎに使用します。
※2 砥の粉 : 粒の細かい土で、木目へ刷り込み凹凸を埋めや表面の仕上げ、研磨剤として使用されます。

蝋色作業の様子

蝋色作業の様子

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