文化財修復
2021/03/01更新
唐門修復情報 漆工事vol.5「いよいよ漆塗作業へ」
いよいよ漆塗作業へ(2021.2.1)
漆塗の工程では塗り作業と研ぎ作業を交互に行います。 漆は紫外線に弱く、屋外では傷みやすいため、この作業では塗り重ねを行い、漆の層を作ることで傷みを防ぎます。
塗りの作業には、下塗り・中塗り・上塗りと段階があり、下塗りは下地と漆を接着させる役割があります。中塗りは、漆のムラや埃の付着を無くすために、木目に沿って繰り返し塗っていきます。上塗りは仕上げとして、色むらの防止や漆の艶、美観の保持等を目的に行います。
漆を全体に塗ることで、錆研ぎ作業では判らなかった微妙な凹凸が現れます。そのため、最初に凹んだ箇所に下地を付け、石と水を使用して下地を研いでから、紙やすりで全体の研ぎ作業を行います。2回目以降の研ぎ作業では紙やすりを使用した全体の研ぎ作業のみ行い、漆を塗った際に付着した埃を取り除いて平滑にします。
漆は湿度が高いほど乾きやすく、天候によって乾き方が大きく変わるので、天候に応じて漆の調合を変え作業を行います。また、作業箇所に埃等が入らないように細心の注意を払います。
上塗り作業が終了すると、漆工事のすべての工程が完了です。紫外線や雨風によって輝きが失われていた唐門に、漆黒の艶が甦りました。