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「お西さん 執行長PRESS」を創刊しました

このたび、「お西さん 執行長PRESS」を創刊しました。境内各所等で配布しておりますので、ぜひお手に取ってご覧ください。本誌内容についてはこのページでも公開しております。
また、創刊号に掲載しきれなかった、武田執行長の青春時代の話と対談を終えた西靖さんのコメントをホームページ限定で掲載しておりますので、併せてご覧ください。

お西さん執行長PRESS 創刊号

↓ホームページ限定記事はここから!↓

若い頃、ボクシングでは学生チャンピオンをめざしていました!

西せっかくの『執行長PRESSS』創刊号なので、執行長のプライベートなお話も伺いたいと思います。
一旦、ご本山のお仕事から離れて、ご自身のお寺に専念されていたところを、執行長になられたことで再び京都での生活、いわば単身赴任ですよね。お寂しいことはありませんか?

武田寂しさとかいうものは、まったくありませんね。

西まったく、ですか。(笑)
ご家族とも離れての生活で、ご不便なことはないですか?

武田不便といえば、自分で洗濯や掃除をしなきゃいかんとか。そういうのはありますけれどね。(笑)

西こちらで、身の回りの世話をしてくださる方はいらっしゃらないのですか?

武田全部、自分でやります。

西そうなんですか! お食事はどうされているんですか?

武田自分でパンを焼いたり、コンビニで買ってきた野菜を食べたりとか。

西えっ? コンビニのサラダとか召しあがってらっしゃるんですか。もちろん、コンビニのものも充実はしてますけれど...。

武田私は、食べることには頓着が無いもので、食べられさえすればいいんです。よほどひどいものは不味いなと思うけれど、そうでない限りはたいがい、美味しいと思って食べますね。(笑)

西そんな人が、こだわりの執行長カレーを出すなんて言っていいんですか?(笑)
健康にいいカレーと聞きましたが。

武田そうです、そうです。
カレーは、まわりで盛り上げてくれていますから、私がダシになれればいいと思いますね。若い人たちのアイデアが、どんどん出ることがたいせつです。
私は、思いついたことは、すぐに話をしないと忘れてしまうので、すぐにぱっと話すようにするのですが、先にお話ししたような、これから本願寺をどうしていこうということを、内局の副執行長や、執行たちとあれやこれや話していると、あっという間に1日が過ぎますし、夜もなるべく10時にはもう寝ているようにしようと思っています。テレビもほとんど見ません。早く布団に入るおかげで夜中の2時3時に目が覚めたりします。(笑)

西健康のために身体を動かすというようなことは?

武田ことさらトレーニングのようなことではありませんが、時々、シャドーボクシングをします。

西そうそう、そういえば、お若い頃にボクサーだったということを耳にはさみました。

武田高校、大学とボクシングをやっていました。

西温厚なお顔立ちとご容貌からは、とても元ボクサーには見えません。(笑)
最初は、どういう経緯でやろうと思われたのですか。

武田私の父が、やはり学生時代にやっていたので、その影響でしたね。

西強かったんですか?

武田まあまあ(笑)、一応、高校の時は広島のチャンピオンになりました。

西えー!

武田大学では、全日本のチャンピオンを目指しましたが、なれませんでした。
関西リーグというのがあって、1回生の時に3部リーグから始めて、3部リーグは負けることはない。2回生の時に2部リーグに上がって、で3回生で1部リーグに入れ替え戦があったんですけれど、その頃にはプロの選手、6回戦ボーイなんかと対等にスパーリングをやっていました。
全日本の3位の選手を2回ダウンさせて勝ったのですが、肝心の全日本でしょっぱなにオリンピックに行った立教大学の選手と当たって負けて、ランキングに入れませんでした。

西わあ。ちなみにボクシングのスタイルとしては?

武田スタイルはボクサータイプです。

西ボクサータイプというのは?

武田いわゆるポイントとって離れてこう、ね (シュッシュッ)
ガンガン打たれても打たれても行く、というのではなくて。

西なるほど、ヒットアンドアウェイの感じの...
今、執行長の動きがもう、ただものではないですね(笑)
へえー ......
例えばプロになって続けようとは思われなかったのですか?

武田いやいやもう、お寺に帰りました。
ただまあ、その後こちらで本願寺派の総務に就任し、今と同じように本願寺で仕事をしていた時期に、近くにプロのボクシングジムがありましてね、仕事が終わったらそこへ行って、プロの選手とスパーリングしてました。

西すごい!ほんとうにお好きなんですね。いつ頃まで?

武田65歳の時でしたか、プロの4回戦ボーイとスパーリングをしまして、脇腹を打たれて、効いたな~、と思ったら、また2発、3発と食ってね、そのダメージで1カ月ばかり苦しみました。あれからもう、やめました。

西なんと!65歳までやっておられたんですか。

武田4回戦くらいの選手だったら、1ラウンドはまだスタミナが持つんですよ。でも、2ラウンドになると、もう、防御一点張りになってくる。(笑)

西いやいやいやいや。

武田そうなると向こうは打ってくるばかりですから、若いからガンガンきますからね。打たれて打たれてしていると、どうしてもどこか当たるんですよね。

西いや、笑い事じゃないですよ。(笑)

武田当たってね、1カ月苦しみました。寝返りもうてないんですよ。

西ひびが入っていたんじゃないですか?

武田あれはひびが入っていましたね。あばら骨というのは、ひびが入ってもどうしようもないですから、もう、ほうっておくしかないですよね。

西どうしようもないと言っても(笑) 総務というお忙しい仕事で、何かあっては困りますからやめてください、とまわりが止めたりはしなかったんですか。

武田何も言いません。本人が好きでやっているのだから。

西まあまあ、止めても続けられそうな雰囲気ですけれどねえ。(笑)

西シャドーボクシングをされる執行長は後にも先にもいらっしゃらないでしょうね。(笑)
今、おいくつでいらっしゃいますか?

武田74歳です。

西お身体の調子はどうですか?

武田とりあえずは元気ですけれど、まあ、あちこちガタはきています。(笑)

西いやいや、思いがけないお話を聴かせていただきました。
お身体に気をつけていただいて、いっそうご活躍ください。
また、新しい取り組みやイベントなどの折にはぜひ、お話をお聴かせください。

武田はい、ぜひとも。ありがとうございます。

西今日はありがとうございました。

対談を終えて

大きな教団の事務方トップとして重責を担われる方なので、重厚で気難しい方かと、お目に掛かる前は正直ちょっとドキドキしていました。仏教についても本願寺についても詳しくない私で、お話の相手が務まるのか不安でもありましたし。ところがお目に掛かってみれば軽やかでにこやか。やさしくお話いただけて、本当に楽しかったです。学生ボクサーだったという経歴は拝見していたんですが、その後も趣味とはいえ65歳までやっておられたというのにも驚きました。軽く拳を構えられたときの体のキレが、ホンモノですもんね(笑)。心の安らぎのための仏教の役割というお話と、相手を倒すボクシングが、執行長のなかでどのように同居しているのか、もっといろいろ伺ってみたかったです。次の機会を頂ければ、そのあたりを突っ込んでインタビューしたいです。

門徒さん以外の人にも開かれた宗門にしたい、というお言葉がありましたが、私にとってもとても興味のあるテーマです。「地域コミュニティの再生」とか「孤立を防ぐ」という言葉はよくメディアで語られることですが、行政任せか、家族の責任に収れんさせてしまうことになってしまいがちです。檀家にとってお寺は大切ですが、檀家の方以外もどうぞ、と言ってもらえると、お寺への親しみも増しますし、「居場所」や「つながり」の再生の萌芽になると思いますね。

個人的な話ですが、京都を訪れるときって、いつもけっこうあわただしいんです。歌舞伎を見て急いで帰る、美術館に行って押し合いへし合いで疲れてしまう、桜を見ているのか人の頭を見ているのかわからない花見、とか(笑)。本願寺さんにお邪魔して、広い境内でゆっくりした、安らいだ時間を過ごさせてもらえたら、京都の過ごし方が変わりそうな気がします。休憩所みたいな言いかたで恐縮ですけれど、開かれた宗門、というお言葉にいろいろと期待をさせていただきたいです。

(西 靖)